車のいろは空のいろ

車のいろは空のいろ

作者:あまん きみこ
絵:北田 卓史
発売日:1968年3月15日
出版社:ポプラ社
ジャンル:児童文学

対象学年:小学校2~4年生向き
その他:教科書に出てくる本。全国学校図書館協議会選定の必読図書に選ばれている。

いわずと知れたあまんきみこさんの名作です。
小学3年生の長男くんが夏休み前に持って帰ってきたプリントに「夏休みの読書におすすめの本」として紹介されていたので、私が子どものころに読んだこの本を実家から持って帰ってきました。(開くと古い本の臭いがしました。)
なんと、私が生まれるずっと前に書かれたものなのですね~!

主人公は若いタクシー運転手の松井五郎さん。松井さんの空いろのタクシーにはなぜかいつも、ちょっと変わったお客さんが乗ってきます。
不思議なことが次々に起こり、ワクワクしたりドキドキしたり。
読む前は、昔の本で、時代背景も違うしどうかなぁと思ったのですが、子どもたちに読み聞かせると子どもたちもなかなか食いついていましたし、久しぶりに読んだ私もちょっと夢中になりました。
お話ももちろん素敵ですがその言葉選びなども秀逸で、現在ではあまり使われなくなっていても子どもたちに知っていてほしいなと思うような言葉が、ちょうど良いレベルでたくさん出てきました。やっぱり語り継がれるには訳があるのだなぁと本当に感心しました。


どれも良いお話ですが、この歳になって読んで一番心に残ったのは、3才の双子の男の子を亡くしたお母さんのお話でした。女の子ですが、Mockにも3才の双子がいます。戦争で子どもを亡くすお母さんの気持ちを思うと耐えられず、泣きながら読みました。
戦争は二度と起こしてはならない。
このところ、アメリカや中国のような大きな国が公に対立していたり、どの国も世界平和より自国の利益を優先するような方針を大っぴらに謳うようになり、世界的に不穏な傾向があって「第3次世界大戦」なんて言葉もささやかれるようになっていますが、何の罪もない人間がたくさん殺されてしまってもいい大儀なんてものはないし、戦争は絶対に起こってはいけないのだと、改めて考えるきっかけとなりました。


このお話とはズレますが、長男くんの教科書に私が小学生の頃にも学習した、同じ作者、あまんきみこさんの「ちぃちゃんのかげおくり」が載っていました。
こちらもとても有名なのでご存じかと思いますが、小さなちぃちゃんが戦争で家族と離れ離れになって、最後は亡くなってしまいます。
音読の宿題で毎朝これを読んでくれるので、私は我慢ができなくて毎朝号泣していました。
すると数日後に長男くん、本当はちぃちゃんのかげおくりが宿題なのに、私を気遣って「今日は違うとこ読むな。」と違うお話を読み始めました。
あぁ、この子すごく成長したんだなぁ、とうれしい気持ちと、みんながこんな風に気遣いながら繋がれれば戦争なんか起こらないだろうな、と思ったのでした。

Mockは意識的に、戦争がテーマの本や映画は見ないことにしています。
しんどくてしんどくて、その気持ちのつらさをいつもまでも引きずってしまう傾向があるからです。
でも今回、子どもたちと一緒に触れられたことはすごく良かったし、大人になって少し強くなったのか、引きずるのもそう長くはなかったし、なによりこの本が私の生まれる前からずっと小学生におすすめされている理由がよくわかって、児童書の翻訳を目指すうえでとても勉強になりました。
名作と呼ばれるものにはどんどん触れていくべきですね。
小学生の子どもにどんな本を買ってあげればいいかと迷っている方がいれば、物語系では私なら間違いなくこの本をおすすめします!
ぜひ一度、読んでみてくださいね。

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