トム・ソーヤーの冒険

トム・ソーヤーの冒険

作者:マーク・トウェイン
訳:柴田元幸
発売日:2012年7月1日
出版社:新潮社
ジャンル:児童書
その他:1876年にアメリカで発表され、世界的に愛され続ける児童向け小説。様々な訳書があるほか、漫画、映画、アニメなどにもなっている。

言わずと知れた、世界中で読み継がれる名作!
この文庫本の表紙にもなっている、壁のペンキ塗りのお話はご存じの方も多いのではないでしょうか?
Mockもこの本自体はもちろん知っていて、断片的には具体的なお話もどこかで出会ってきましたが、全体を通して読んだことがなく、小学生の子どもに読ませるのにどうかなと思いまずは読んでみることにしました。

訳書を選ぶ


実はトム・ソーヤ―を読みたいと思ったときに、たくさんの訳書があるのでどれを読むかとても迷いました。
面白ければ最終的にはいろんな訳書を読み比べ、原書も読もうと思ったのですが、まずはどうするか、と。
Amazonのレビューでいろいろな翻訳者さんのバージョンを見てみて、評価のいいものから手に取ってみようとレビューを読んで、良い評価も悪い評価もあるにはあったのですが・・・
結局、読んだ人の好みなのだということがわかっただけでした(^^;
まあそうですよね。こんな長い間読まれ続ける本を翻訳する訳者さんが、絶対的に悪い評価を受けるような訳書を世に出すわけはないですからね。
または、悪いものがあればすでに淘汰されているのかもしれません。
読む人の好み。振り出しに戻りました~。(笑)
で、結局、迷いに迷ったあげく、最近新しく翻訳されたものを選択することにしました。

選んだ訳書の感想

結果、正解だったと思います!
最初、読み始めはなんだか注釈や、説明がましいような表現がたくさん出てきて読みづらく、失敗したかなと思ったんです。
でも読み進めるとそれらは後ろと繋がっていて説明が必要なものだったり、舞台となった時代背景やそのころの生活を暗示する大切な要素であったのだとわかりました。

物語について

話の内容は本当に興味深い、面白いものでした!
少年たちの子どもらしい小さないたずらから大きな事件までさまざま起こる(起こす!?)のですが、彼らは心から悪い人間ではなく、虚栄心や親代わりのおばさんへの思い、そして友達、女の子、兄弟たちや奴隷の黒人との人間関係など、色鮮やかに描かれています。
いや、実際には奴隷として使われている黒人の少年との関係が詳細に書かれているわけではないのですが、私としてはその時代に奴隷が当たり前だったこと、そして今ではそれがとても悪いことだと認識されているわけですが、当時、(もちろん不当な扱いを受けたりしいたげられたりしていた方々もたくさんいらっしゃったことは忘れてはいけないとは思うのですが)お互いが与えられた環境を当たり前に思っていて、それなりに楽しく、利害を一致させながら暮らしていたのだという風に読めたのです。
今の社会に当てはめると例えば女性の社会での立場などの問題がありますが、人間の尊厳を踏みにじるような差別的な制度や風習はもちろん変えていかなければならない。でも、みんなが声を上げて立ち上がる、自分の時間と生活を犠牲にして今後の社会のために立ち上がるのはなかなか難しいことです。
そうであれば、与えられた環境に不平不満を言うばかりではなく、周りと協調し、そこでの生活を大切に、楽しく暮らしていくということも個人としては(考え方の1つとして)大切なことだなと感じたのでした。
さて、生き生きと描かれた少年の成長とは別に、大きく興味を惹かれたのはトムたちを育てているおばさんです。
とても庶民的で、愛情深いおばさん。トムを大切に思っていますが、心配して悩まされることばかりが起こります。ただここでびっくりするのが、トムが悪いことをすると罰として鞭で打つんですよね。時代とは言え、昔はこんな風に子育てしていたんだと思うと、なんだかちょっと気が楽になったというか(^^;
だって、子どもたちはそんなことまでされて育ってきたのに、みんながみんな心に傷を負って成長したわけではないということですよね?
良くないんですよ。良くないんですけれど、これまでもいろんな子育てがあって、その子によって何が正解かなんて誰にもわからないということだと思いました。ちょっと話が膨らみすぎていますが。(笑)
おばさんが子育てに悩んだり、トムの言動に一喜一憂したりして翻弄されている様子は、今の自分に重なり、心の支えになるような気さえしました。

最後に

子どもの立場から見ても細かい心理描写などがとても面白いし、子育てをする立場から見ても気持ちを共有できるし、そしてその時代のアメリカの生活、小さな田舎の村で人々がどのように暮らしていたかが垣間見える、本当に文字通り名作の楽しめる作品でした!
今後、他の訳書や同じ作者の「ハックルベリー・フィンの冒険」も読んでいきたいと思っています。

柴田元幸訳(私が読んだものです。)

土屋京子訳(こちらも新訳です。表紙が特徴的ですね。)

石井桃子訳(訳が古すぎて読めない、文章が読みにくいなどのレビューも見られました。上下巻)

↓こういう子供向けのものも、小学生のお子さんなどにはぜひ!

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