不器用な子どもがしあわせになる育て方

コグトレ
不器用な子どもがしあわせになる育て方

不器用な子どもがしあわせになる育て方

作者:宮口 幸治
発売日:2020年7月20日
出版社:かんき出版
ジャンル:子育て本
その他:児童精神科医、立命館大学教授であり、「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮社)が60万部を超える大ヒットとなった著者による、行きにくい子を育てる親に向けた子育て本。

皆さん、「コグトレ」という言葉をご存じでしょうか?
私は数週間前にテレビで紹介されているのを見て興味を持ちました。
で、ネットで調べて本を買って読んで・・・そこで、うちの子たちが通っている小学校でも朝の時間に導入されていたことに気が付きました!
この本に興味を持たれる親御さんは、我が子に少し心配なところを感じていらっしゃる方がほとんどではないでしょうか。
我が家もそうでした。いや、現在進行形、「そうです。」ですね。
この本とここに書かれている具体的なトレーニングは、私が何年も求めていた、家で我が子にしてあげたいトレーニングでした。それが具体的に書かれています。
発達などについて心配事がある親御さんであれば、確実に一読の価値はあります!

コグトレってなんだ?

本書の後半では、生きづらさを持った子どもがその生きづらさを改善できるよう提唱されたトレーニング「コグトレ」について書かれています。
コグトレとは、認知〇〇トレーニング(Cognitive〇〇Training)の略称で、認知力、対人力、身体力のアップを目指しているそうです。
これは著者が少年院で児童精神科医として勤務され、長年に渡って非行少年たちと向き合う中で行き着き、大きな成果を得たトレーニングだったそうです。
認知力」にはパズルのようなものが多く、「対人力」は道徳の授業のように人の気持ちを考えたり、自分を振り返ることを促す記述式のトレーニング、「身体力」では身近にある折り紙やつまようじ、そして新聞紙を丸めて作るコグトレ棒というものを使ったトレーニングなどが紹介されています。
「対人力」についてはまだ手を付けていませんが、その他は今のところ夏休みの時間を使って兄弟楽しんで取り組んでいます!

我が子の弱いところ

我が家の長男は小さい頃から同年代のお友達と遊ぶのも話すのも苦手、体を動かすのも苦手、身の回りを片付けられない、じっとしていられない、人の言うことを聞き入れない(頑固)などの弱点を持っていました。
反面、何かを作る時のアイデア、ひらめきなどはどんどん出て来くるし、本が大好きで言葉も豊富、記憶力も良く、数字の概念も早くからよく理解していました。
苦手なところは保育園時代から常に気になっていましたが、第1子で3月の終わり生まれでしたので、みんなと同じようにできなくても「まだ小さいし」とも思っていました。
小学校に上がり参観に行ったとき、保護者の方がたくさんいる中で授業そっちのけで机と膝の間に自分の好きな本を置いて読みふけっていた我が道を行く加減にはかなりの衝撃をうけましたが。(笑)
でもだからと言って授業についていけないわけではなく、話しを聞かないのはその時の彼には内容が簡単すぎたというのもあったのかなと思います。
ただ、やっぱり気になる。机の周りぐちゃぐちゃにものが散らかっているし、授業中も椅子をガタガタやって動いているし、話聞かずに本読んでるし・・・。そこで他の男の子たちを観察してみましたが、程度の差こそあれ、似たような感じの子もちらほら。
う~ん、もう少し様子を見てみるか。
ここまで書いて読み返してみると、自分のこれまでの迷いがよく見えます(^^;
そんなこんなで気になりながら迷いながら、いろんな方のお話を聞いたり本を読んだりしながら、小学1~2年生のころにはざっくり以下のような状況でした。

  • 数字上も私から見ても発達障害などの診断を受けるようなレベルではまったくない
  • 本人は何も困っていない(不得意の意識もない)
  • 学習面は問題なくついて行けている
  • 家に遊びに来るお友達も数人いる
  • それでも友達付き合いが苦手なのは明らか
  • 先生が困っている(授業中立ち歩いたり他人に悪いことをするタイプではないので、おそらく一番は話を聞かないこと?)
  • 字が汚くて読めない
  • 整理整頓ができず身の回りがとにかく汚い

当初、私は我が子が「グレーゾーン」と呼ばれるところにいるのかな、と思っていました。しかしその後、いろいろな本を読む中で、「グレーゾーン」にも入らないだろうという結論に至りました。


外から見て困りごとはあるのですが、本人は平気そう。公的支援を受けるレベルではなく、学校では国語の時間に抜け出しての支援はあるけれど、放課後の支援はできない。先生の話では有料でトレーニングをしている場所を個人的に利用できるとのことでしたが、その先の詳細情報は得られませんでした。何か弱点克服のために働きかけた方がいいのだろうなと思いながらも、本人が必要としていないということもあり、積極的なトレーニングに通うことを諦めました。
結局、我が子は発達に少々弱点を抱えながらも、一般的に「標準」と言われるところにカテゴライズされるだろうということがわかり、そうなるとその弱点をフォローする支援を受けたり、その情報を手に入れたりする手立てがない、またはかなり少ないということもわかったのです。そのままでも普通に生きていけるかもしれないし、どこかでつまずくかもしれない。サポートには正直、親の頑張り1つ、というところでした。
家で何かフォローしてあげられることはないかと考えたり調べたりするものの、その当時は下の双子が1才になり保育園に行き始めたばかり。次男もいる。なかなか長男のことだけに時間を取れずにいました。

さて、そうこうしているうちに問題が出てきます。
3年生、4年生ごろからです。気になるところは人づきあいとお勉強。学校のお勉強の内容は難しく、宿題の量も低学年のころとは違って多くなってきました。小さなころから宿題を見て間違いを指摘されるのが嫌いだった長男くん。ぜんぜんチェックしないまま放っておいたら、宿題をしないままだったり、間違えた箇所をやり直ししないまま放置していたようで・・・。1学期終わりまでに提出できずに夏休みに呼び出されることに。
低学年では字がとても汚いだけで済んでいたのが、学年が上がると漢字が覚えられない、正しく書けないことも顕著に。
とうとういろんなところで問題が表面化してきたわけです。ここでそのままにしていたら、どちらかというと得意だったお勉強まで小学校のうちに落ちこぼれることになるのは目に見えていました
これはまずいなぁ、と息子の学習に介入を決心したちょうどそのころに、コグトレの話題をテレビで見てこの本を買うことにしたのです。

とにかく字が汚い

具体的なトレーニングとしてまず探していたのは、形や文字の見え方を改善できるものでした。長男くんはひらがな、カタカナ、漢字、数字、すべてにおいて字が汚く、何を書いているのか自分でもわからなくなるほど。横について「丁寧に」と口やかましく言えばできなくもないけれど、指摘されてやり直すのもすごく嫌がるので、低学年のうちは学習意欲をなくすよりは、とあまりうるさく言いませんでした。そのため、ほぼ読めない字を書いていました。
ある時、ふと思ったのです。形がきちんと認識できないんじゃないか?と。
で、そういう見え方の改善のようなものを探したりもしたのですが見つけられず、コグトレを見て初めて「これだ!」と直感しました。

そこでまず手に取ったのが次の本です。

この表紙の向かって左真ん中くらいにある、ペンギンのような形。これはもともと書いている絵を真似て、点を結んで同じ絵を描く、というトレーニングです。これが効くんじゃないかと思いました。
それですぐにこちらの購入を決めたのですが、Amazonのこの本のページ中、同じような本を紹介してくれる欄に本書があったのです。

コグトレ・パズルの活用法

不器用な子どもがしあわせになる育て方』というタイトル、帯には「学習の土台になる認知力、良好な人間関係を築く対人力、体や手先を上手に使う身体力」と書かれているではないですか!
いやもう、これしかない!!と思いましたね。
まさに探し求めていた一冊!!
で両方購入し、上のコグトレパズルをやらせながら、私は本書を読み始めました。
パズルの方は、パズルの問題がたくさん載っているだけで、使い方などの説明は詳しく書いていません。こちらの口コミで、「詳しい使い方を書いておいてほしかった」と言っている方もいらっしゃいました。
それを考えると、『不器用な子どもがしあわせになる育て方』を最初に読むことをおススメします。
どんな風にトレーニングを進めると良いかということも詳しく書かれています。また、パズルにはない身体トレーニングの具体的なやり方もあり、最後にはダウンロードして使えるワークシート(パズルなど)のURLも載っていて、まず始めるにはこれだけでも十分です。
それを終えて、プラスしてもっとトレーニングをするには上記の『コグトレ・パズル』も検討されてはと思います。

どうしてお勉強をした方がいいのか?

我が子は学校のお勉強の内容は低学年のころは確実に理解していました。ただ、注意力散漫で問題文をきちんと読むこともしないので、100点を取ってくることはめったにありませんでした。
私としては、理解さえしていれば特に問題ないと思っていました。テストの点数なんてどちらでもいい、でも問題を正確に読んだりミスをしないという練習はやっぱり必要かな、とも感じていました。
これは私が子どもたちにいつも言っていることなのですが、「お勉強というのは、人生をより楽しむために必要なこと」だと思うのです。知識があるかないかで、その物の見え方が変わってきます。知らなければ目にも入らないものが、知っていればちょっと見てみよう、行ってみよう、これはどうなっているのか、などどんどん興味が湧いてくるでしょう。そしてそれが多いほど楽しみの多い生き方だと言えるのではないかという考え方です。
で、親としてテストの点数なんてどうでもいい、と思っていたのが、学年が上がるにつ入れて変わっていきます。点数に結びつかないと本人のやる気がだんだんなくなり、どうせ自分はできないんだというような諦め感覚を持つようになり、内容の理解にも支障をきたしてくるという事実に気が付きます。
一流の学校に入学し、大企業に就職する。それはできないよりできた方がいいのかもしれない。でも人の幸せにはあまり関係のないことでしょう。テストの点数はそのためのものではなく、自信を付け、学ぶことにより意欲的に取り組むためのツールの1つと言えるのではないでしょうか。
コグトレが自信とやる気を子どもたちに与えてくれることを願って続けていきたいと思います。

本の内容について

内容は以下の5つに分かれています。

  • なぜ生きづらいのか
  • 生きづらい子どもの3つの不器用さ
  • その子どもたちが大人になったら
  • 子どもたちに何が必要か
  • コグトレ

生きづらさの原因、具体的にどんなことができないのか、そのまま放っておいたらどうなるのか、そうならないためにどうサポートしてあげればいいのか、ということが順を追って書かれています。

そして少年院にお勤めだったことから、お話の中には非行少年たちがよく出てきます。
うちの子はこのまま放っておいても非行とは無縁なように思いますが、それでもまさに、同じような生きづらさを持っているとも感じました。
そして一番印象に残った言葉は、子どもたちは困っていても、生きづらくても、それを訴えられない、というお話でした。
うちの子も本人は困っているようには見えないけれど、ちょっとやりにくいし先生からも厄介だと思われていました。本当は困っているのか、私が思うほど何も思っていないのかずっとわからなかったのですが、この本を読んで、本人もよくわかっていないんだろうなと思いました。だからいつも近くにいる大人が気が付いて手を差し伸べないといけないんじゃないかと気づくことができました。

コグトレは多くの学校でも取り入れられ、これからもどんどん一般的になってくるトレーニングだと思います。
今、現に困っているお子さん、親御さんには本当にお薦めの一冊です。

そして、困っているわけでなくても、子どもたちの成長を促す良いトレーニングになり、また、本書の「子どもたちにとって大人が「伴走する」ことが大切」という考え方は、子育て全般に通じることだと思います。

この本は、それぞれの親子がともに弱点を克服して成長するきっかけになり得るのではないでしょうか。

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2件のコメント

うちと同じすぎて共感しかないですね!
うちはやらないといけないことを、わかってるくせにやらない。
知識だけを自慢気に言ってくるが、自分が出来てないことは棚に上げて、それを指摘すると開き直る。子供だから当たり前かもしれませんが。。
あまり言わない方がいいのかと思って言わないと永遠とやらない。難しいですね。笑
本参考にさせてもらいます◎

ごろえもんさん、コメントありがとうございます!!
同じ状況の方からコメントいただけて心強いです!
ごろえもんさんが書いてくださったお子様の状態が本当に同じすぎて。笑
そうなんですよね~。ガミガミ言ってお互い嫌な空気になるよりは言わない方がいいかと何度も思うのですが、永遠にやらずにソファに転がってるので結局ケンカですー
これからも悩ましい日々だと思いますが、お互い頑張りましょうね^^

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